近代において現代医学は、それまでの東洋医学と比べてわかりやすいという点と即効性があるという2つの利点で20世紀には劇的な普及を見てきましたが、21世紀になって副作用や治療費がかかりすぎるとの欠点も見えてきました。しかも疾患の数は減るどころかむしろ難治性の疾病は増える傾向にあります。高齢化の影響もありますが、医療費は天井知らずに上昇し、33兆円を突破してしまいました。国も医療費を抑えようと強引に医療の技術料や薬価を引き下げてまいりましたが、結果的には勤務医の減少や小児科や産科の崩壊という現象を招き日本の医療は瀕死の状態にあります。医師も治癒見込みのない患者さんに湯水のように医療費を使って参りました。
今年は国もわれわれ医療従事者もこの反省に立ってついに画期的な予防医学の幕開けを迎えようとしています。もしこの試みが成功すれば世界の中で日本が予防医学のリーダーになれる可能性もあると思います。これが2008年7月から始まった特定検診および特定保健指導のシステムです。
格差社会の中で発生するストレスに晒されますとヒトの脳内にはNPYという脳内物質が大量に発生いたします。この物質が脳内に発生しますとヒトは食欲を抑えることが難しくなります。するとストレスに弱い人はドカ食いをします。すると内臓脂肪からPAGFという物質が大量に出てきます。これは内臓に大量の脂肪を作ってしまい、リバウンドを繰り返しながらメタボリックシンドローム(内臓脂肪蓄積症)に到達してしまいます。その結果が癌をはじめ心筋梗塞および脳梗塞を併発することとなり医療費の6割〜7割を占めることとなります。病気の元となっているストレス対策を放っておいたままでは過食は収まらず、そのうえ車社会による運動不足が加わると病気の元といってもよい内臓脂肪は増え続けることとなります。国がいよいよ疾病治療よりも予防医学として内臓脂肪を減らすことの根本対策に本気で取り組み始めたことは画期的なことです。
予防医学研究所は民間ベースでこの施策に賛同して集学的に予防医学を推進するために生まれた会社です。この方針に賛同する産官学の多くの方々と協力してEBM(evidence based medicine)に基づいた予防医学に役立つソフトやハードの開発はもとより臨床の場での実技指導も行っていく所存です。
ストレス対策と内臓脂肪対策としての粗食で小食の、食の大切さと寝たきりの高齢者でも実践できる運動療法の普及をするために、施設づくりを行っていく所存ですので、多くの方々の更なるご協力とご支援をお願い致します。